「ダメだ」


先生はそう言いチラリと窓の外を見た。


雨は相変わらず降り続けている。


けれど、雨はいつ止むかもわからない。


少しでも時間を短縮したいのかもしれない。


「丸山、前に出て来い」


和が呼ばれて教卓へと向かう。


何も言われずとも、木箱を開けて中の紙を確認していく和。


先生は教卓の椅子にドカッと腰を下ろしてその様子を見ている。


和が動かすチョークの音だけが教室内に響いている。


和の文字は時々震え、緊張しているのがわかった。