「協力しちゃいけないなんて、言ってないからなぁ」


廊下に出て来た先生がその光景を見て、笑いながらそう言った。


複数人で1人を攻撃することは違反ではないのだ。


それなら、女子でも男子を殺す事ができる。


悠に馬乗りになっていた梨央がポケットからカッターナイフを取り出した。


いつの間に忍ばせていたのかわからないが、やる気だったことには違いない。


梨央がカッターナイフを悠へ向けて振り下ろした。


クラスメートたちから悲鳴があがる。


あたしはその光景から目を離す事ができなかった。


梨央は何度も何度も悠の顔にカッターナイフを突き立てた。


「あたしをバカにしやがって!! 何度も殴りやがって!!」


悲鳴に近い声でそう言いながら繰り返し攻撃する梨央。


最初は泣いて震えて嫌がっていたはずなのに、今の梨央にその面影はなかったのだった。