青ざめた顔をしているけれど、まだ普段の裕司らしさが残っている。


「あのままっていっても、ほとんど原型がないじゃん」


そう言ったのは真奈美だった。


確かに、ネネの肉片は飛び散ってしまっている。


「とりあえず、掃除をする」


裕司はそう言うと1人モップを持って廊下へ出た。


その様子を見ていた和が掃除道具入れからバケツを取り出した。


「俺も手伝う」


短くそう言い、バケツに水を汲んで戻って来た。


手伝えそうな生徒たちはみんなモップや雑巾を手に動き始めた。


あたしもどうにか立ち上がり、雑巾を手にした。


ただ1人、梨央だけは椅子に座って俯いたまま動こうとしなかったのだった。