顔面の半分が潰れ、首がダラリと横へ垂れ下がっていた。


灰色のスーツは真っ赤に染まり、右足首が真横へ曲がっている。


半分しかなくなった顔の断面からはドロドロと体液が流れ出し、床を濡らしていった。


「キャァァァ!!」


誰かが叫んだ。


それが引き金になったように生徒たちが悲鳴をあげる。


「うるさいぞぉ! 授業を始める! 席につけぇ!」


顔の半分をグネグネと動かし、先生はそう言った。


「なんだよあれ! なんであんなので生きてんだよ!!」


「知らないわよ! 逃げなきゃ!」


「どこも開かないのに、どうやって逃げるんだよ!!」


あちこちから混乱の声が聞こえて来る中、あたしはヘナヘナと床に座り込んでしまった。


顔の半分を失った先生は昨日までと変わりない様子で教卓へ向かう。


ズル……ペタ。


ズル……ペタ。


と、足音を響かせながら教室の中を歩いて行く。