小さな雨粒が数滴落ちてきて頬を濡らす。


雲が切れて天使の梯子が下りて来るのを見た。


「綺麗……」


里子がそう呟いた。


「うん」


あたしは空を見上げたまま頷く。


あちこちから下りてくる天使の梯子。


それはキラキラと輝いて地上まで続いている。


人の声が聞こえてきてあたしはフェンスまで移動した。


下には沢山の人が集まってきてる。


空を見上げ、歓声を上げている。


パラパラと振って来た雨が、ピタリと止まった。


「雨が……やんだ」


大和が小さく呟いた。


その瞬間、学校の窓から黒いモヤが浮かんで出て行くのを見た。


それは天使の梯子に吸い寄せられるように移動し、天へと昇っていく。


「終った……?」


あたしはそう呟いた次の瞬間、意識を失ったのだった。