そう聞くと、里子がニヤリとした笑みをあたしへ向けた。


「あたしも大和のこといいなぁって思ってたんだよね」


里子がなんでもない事のようにそう言った。


あたしは驚いて里子を見る。


今までずっと一緒にいたのに、里子のそんな気持ちには全く気が付かなかった。


「だけどさ、彼氏にしようとか思ったことはないよ? 同級生なんて車も持ってないし、お金もないし、つまんないしさぁ」


そう言う里子はあたしが見たことのない里子だった。


「でも、ちょっとつまみ食いするくらいならいいかなって思って、1か月前デートに誘ったの」


「デートって……」


あたしは唖然として里子を見つめた。


「だけど、優衣がいるから行かないって断られた」


その言葉に思わず安堵していた。


里子の豹変の後、大和の裏切りまで知る事になれば、きっとあたしは壊れてしまうだろう。


誰を信じればいいのかわからなくなってしまう。