刺殺された裕司の体はそのままにされていた。


裕司を殺した晴哉が奇声を上げ、そのまま教室の後ろで動かなくなってしまったからだった。


「手伝うよ」


あたしはすぐに席を立ち、大和に手を貸した。


遺体を運ぶなんて絶対に嫌だったけれど、大和1人にやらせるワケにはいかない。


「ありがとう優衣」


大和がほほ笑んでくれる。


それだけで、あたしは元気になれる気がした。


裕司の足の方を持ったあたしだけれど、力なく垂れ下がる体はすごく重たい。


少し歩くだけでも息切れしてしまう。


裕司の血に濡れた体や顔、血の匂いをすぐ近くに感じて吐き気がする。


それでもどうにか空き教室へと移動させると、教室では里子が掃除をしてくれていた。


「ありがとう里子」


「ううん。2人ともご苦労様」