ちゃんと現実を見なきゃいけないって、わかってる。


それでも、今はそれすらできなかった。


これでどちらかが死んで、残りは5人になってしまうんだ。


あたしも大和も里子もかろうじて生きているけれど、いつまでも残っていられるとは思っていなかった。


ギュッと目を閉じて現実から目を離そうとした時、生ぬるい液体があたしの頬に降りかかって来た。


ハッとして顔を上げると目の前に先生が立っていて、悲鳴をあげていた。


「ちゃんと結果を見ないか高谷ぁ!」


先生はそう怒鳴り、あたしの手首を掴んで無理やり立たせた。


ぬるりとした血の感触が手首に絡み付く。


先生の力はとても強く、あたしの体を引きずるようにして教室を出て行く。


今にも腕が折れてしまいそうで、あたしは顔をしかめた。


「ほら、あの2人頑張ってるだろうが!」


廊下には晴哉と裕司の姿があった。


2人とも血まみれになっていて、なでか晴哉の手にもカッターナイフが握られていた。


「先生! あれ、いいんですか!?」


殺される側は必死で逃げる事が条件だったはずだ。