晴哉の気持ちが戻ってきて、投票は晴哉5票、大和1票という結果になっていた。


結果が出た瞬間晴哉は唖然としていたが、次の瞬間にはすべてを理解し教室から駆け出していた。


裕司がカッターナイフを握りしめてその後を追いかけた。


あたしたちは何もできずに教室に残っていた。


裕司を手伝う事はできる。


本当なら、自分たちの投票結果なんだから無視なんてしていていいはずがなかった。


けれど、どうしても体が動かないのだ。


体の中に鉛を飲みこんでしまったような感覚だった。


廊下では2人分の足音と、2人の怒号が飛び交っている。


晴哉は必死で抵抗しているようだ。


あたしは机に突っ伏して両耳を塞いだ。


こんなことをするなんて最低だってわかってる。