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それから10分後あたしたちの投票は終わっていた。


残るは晴哉の投票だけだった。


「おい平松ぅ! お前しっかりしないかぁ!」


先生が晴哉の肩を叩く。


その度に血が飛び散って晴哉の体を汚して行った。


それでも晴哉は反応を見せない。


中身が消えて、がらんどうになってしまっているようだ。


「みんなもう投票を終えたんだぞ。お前だけできないなんて、おかしいだろぉ!?」


先生の声が野生動物の吠える声のように聞こえて来る。


晴哉がその声にビクリと反応を見せた。


徐々に目の色が戻って来る。


「あ……え?」


先生を見て青ざめる晴哉。


キョロキョロと教室内を見回したかと思うと、涙を浮かべた。


「なんだよ、夢じゃなかったのかよ……」