自分たちがスッカリ忘れてしまった過去の出来事で苦しんでいた梨央。


誰にも言えずに、たった1人で抱えてきたんだろう。


ずっと一緒にいたのに、あたしたちは何も気が付けなかったんだ。


そう思うと悔しくて、あたしは下唇を噛みしめた。


男子たちが梨央の体を空き教室へと運んでくれた時だった。


「投票時間まであと少しだぞ~?」


という先生に声が聞こえてきてあたしはハッと息を飲んだ。


今までは話し合いの時間で、投票時間はまだ来ていなかったのだ。


だけど梨央は死んでしまった。


一体誰に投票すればいいのだろう。


あたしはクラスメートたちの様子を伺った。


みんな困った表情を浮かべている。