咄嗟に裕司と大和が晴哉の体を押さえるようにして止めていた。


「1人でどこに行くつもりだよ」


大和が言う。


「どこだっていいだろ!? どこにいたってどうせ全員死ぬんだから!!」


晴哉の叫び声に残っているクラスメートたちが全員凍り付いた。


全員死ぬ。


いくらここで生き延びようとしても、そんなの意味がない。


それはみんなが心の中で薄々感じていたことで、だけど絶対に口に出してこなかったことだった。


希望まで失えば、すべてが崩壊してしまうかもしれないから。


「そんなことない! 絶対に助かる!」


あたしは叫んでいた。


叫ばずにはいられなかった。


晴哉の気持ちもよくわかるけれど、助かると信じていなければいけない気がした。