投票時間が迫ればきっと戻って来る。


それならわざわざ追いかける必要はない。


真奈美だって、1人になりたいだろう。


そう思うと、あたしはゆるゆると椅子に座った。


「大和に追いかけてきて欲しいんじゃない?」


梨央がそう言った。


大和は戸惑った表情で真奈美が出て行ったドアを見つめ、それから左右に首を振った。


「追いかける事はできない」


「……そうだよね」


梨央がそう言って笑った。


久しぶりにみた梨央の笑顔はどこか悲しげだ。


「俺は確かに人の気持ちなんて考えてなかったかもしれない。自己満足で優しくして、最終的に相手を傷つけた」