「真奈美って結構最低じゃん」


薄ら笑いを浮かべてそう言ったのは彩だった。


「でもよかった。真面目な真奈美でもあんなところがあるんだね」


「やめて！！」


真奈美は彩の声をかき消して叫んだ。


青ざめて両手で頭を抱えている。


大和は驚いた表情を浮かべているが、そこに嫌悪の色は見られなかった。


「ちょっと、言ってくる」


あたしにそう言うと、大和は真奈美へ近づいた。


ハッとして真奈美が顔をあげる。


その目には涙が浮かんでいた。


「どうして、言ってくれなかったんだ？」


優しい大和の声に、真奈美の涙がこぼれ落ちた。


「だって……大和はいつも優衣の事を見てるじゃん。あたしの気持ちなんて、言えるわけないよ」


消え入りそうな小さな真奈美の声に、胸がズキリと痛んだ。