あたしたちだけぼんやりとここにいるワケにはいかなさそうだった。


「行こう」


大和があたしの手を握りしめてきたので、ハッと我に返った。


そうだ。


逃げなきゃ。


そそう思って一歩足を踏み出すと、途端に現実に戻ったような気がした。


クラスメートたちの叫び声や泣き声が聞こえ始める。


鞄を掴んで大和と共に教室を出た。


一気に一階まで駆け下りて昇降口へと到着したが……生徒玄関が閉められているのだ。


雨が降っているから?


そう思ったが、他の生徒や先生たちが逃げ出す中でここだけちゃんと閉められているのは不自然だった。