「……そうなんだ」


あたしはそう言い、パックのジュースを見つめた。


今はなにも欲しくない気分だった。


「1つ、疑問に感じたことがあるんだ」


「疑問?」


「あぁ。この空間になってから結構時間が経ってるはずなんだけど、なにか飲んだり、食べたり、トイレに行ったりっていう生理的な現象がほとんどないと思わないか?」


大和の言葉にあたしは瞬きを繰り返した。


そんなこと考えたこともなかった。


けれど、確かに学校に隔離されてからあたしは1度もトイレに立っていない。


疲労は感じているけれど、眠気もない状態だった。


「そうかも……」


「もしかしたら、おかしくなったのは世界じゃなくて、俺たちの方なのかもしれないな」


「どういう意味?」


「よく、わからないけど」


大和は曖昧に言葉を濁した。