あたしも吸い寄せられるように窓へと向かう。


下を覗き込むと、逃げていく他の学年の生徒たちが見えた。


その中にピクリとも動かないスーツ姿の背中が見えた。


窓の真下のコンクリートに打ちつけられて、血が出ている。


その血は雨に滲み、どんどん流されて行く。


「なんで……?」


誰かが小さな声で呟いた。


なんで?


誰もその問いかけに返事ができなかった。


なんで先生は突然飛び降りたの?


授業は終わり、あとは帰るだけだったはずなのに、世界がガラリと変化した。


「逃げよう!」


誰かがそう言った。


窓の外にはどんどん校舎から出て行く生徒や先生の姿がある。