「奏くん、でいいよ」
「えぇっ!?そ、そんなっ」
奏くんなんて呼べない……!
「どうしてですかっ」
「ん?そっちの方がいいかなーって」
綾小路先輩は、平気な顔をして言った。
「ね、1回だけ」
「えぇ……っ」
そうだ、1回だけ。
頑張れ、私!
「そ……奏く、ん」
「ははっ、よく出来ました」
綾小路先輩……じゃなくて、奏くんは
にっこり笑って私の頭を撫でた。
「じゃあ俺も菜摘ちゃんって呼ぶ」
「はっ、はい」
「……菜摘ちゃん」
「……っ」
なんだか、胸の奥が苦しい。
キューってなって、息が出来なくなっていく。
ツラい痛みじゃない……。
この痛みは?

