奈緒待ちの間に海の風景にピントを合わせてシャッターを押す。


カメラを持ち歩くのはもう職業病かな。


それにしてもそろそろ出てきてもいいはずなのに奈緒が来ない。


迷子・・・・・?


キョロキョロと周りを見回すと、奈緒を発見。


なんだ、出て来てるじゃん。


呼びに行こうと一歩踏み出すと、人込みで見えなかった男2人組みが奈緒に絡んでるのが見えた。


イラッとしながら奈緒の元へ近寄る。


「奈緒」


奈緒の後ろから2人のヤロー共に威嚇する。


「あ、煌!」

「何してるの?」

「あ、遠方から来られてここら辺のこと分からないから案内して欲しいって声かけられて」


それ、明らかナンパだから。


「すみません、俺たちも地元の人間じゃないんですよ」


圧を掛けながら微笑む。


「いや、えーと・・・」

「じゃあ別の人にあたってみます」


そそくさと逃げるように去っていった2人を横目に奈緒を見る。



「はぁ~・・・・・」


俺のせいだよな・・・・・


「何!?」


俺がいきなり溜息を吐くもんだから驚いている。


「てか自分だけズルい!」


真っ白なビキニスカートを身に纏い腕を組むようにして前を隠している。


オフショルみたいについているフリルが妙にエロく見える。


ズルいと言っているのは俺が着てるパーカーのことを言ってるんだろう。


「俺が見たかっただけ」


まあ見れたからよしとしよう。


自分が羽織ってるパーカーを奈緒に渡した。


「私の体見ても何にも価値ないのに」


とかぶつぶつ言いながらちゃっかりチャックまで閉めてしまった。


「てかなんでレディースの水着なんて持ってたの?」

「もしかして嫉妬?」


なんて言って下から顔を覗き込んでみる。


「そ、んなんじゃないし!」


パッと顔を上げた表情は少し照れていた。


本当に嫉妬だったらいいな。


なんて心の隅で思ってしまった。


「先週撮影があってくれたんだよね」


勿論未使用だよ、と付け加えた。



腑に落ちてない奈緒の手を引っ張り海まで歩いた。