しばらく縋りつくように抱きついていると煌と目が合った。
「ごめん、姿見れて安心して・・・・・。とりあえず中入ろうか」
私の手を握ったまま、先ほど落とした荷物を拾い上げ家の中まで手を引いてくれた。
ソファーに私を座らせると、一度奥の部屋へ消えていった。
消えたと思えば、すぐに戻ってきて渡してくれた濡れタオル。
これで目冷やして。そう言って渡してくれた。
紳士的な対応に不覚にもキュンとしてしまった。
「会いに来てくれて嬉しかったよ。連絡先渡しただけで聞いてなかったからさ」
「ごめん、迷惑かなって思って・・・・・」
「迷惑だったら連絡先渡したりしないよ。もう他人ってわけでもないんだし」
一人で葛藤していないで素直に連絡を取ればよかった。
こんなにも迷惑をかけて心配させてしまった。
「ごめんなさい・・・・・」
「謝らなくていいよ。こうして会いに来てくれたんだし」
「ありがとう」
退院してから初め自然と笑みが零れた。

