「……赤ちゃん、いなくなっちゃった」
奈緒が口を開いたのは朝陽が昇り始めた頃だった。
「わた、しが殺した………」
病室へと入ってから初めて感情が溢れだし始めた。
「奈緒は悪くない。誰も悪くないよ」
気休めにもならない台詞と溢れだす感情を拭ってやることしか出来なかった。
疲れてそのまま意識を手放すと、昼まで目を覚まさなかった。
そのまま退院をし、自宅まで送り届けた。
俺の名刺を無理矢理持たせ、家の中へ入っていくのを見届けた。
それが今の俺に出来る精一杯のことだった。
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