「奈緒?……奈緒!」

「______っ!」



一度の呼び掛けに反応しなかった奈緒の手首を掴んだ。



「こ、う……?どうしたの?」

「どうしたって、お前が……」



“消えてしまいそうだったから”



なんて口が裂けても言えない。



「あ、いや………。たまたま通りかかったから……」


「そっか」


「奈緒は?なんでこんなところに?奈緒だけの身体じゃないんだからこんな時間に出歩いたら危ないし冷えるだろ?」



握った所が冷んやりと冷えていた。



自分が羽織っていた上着を脱ぎ、奈緒の肩にかけた。



「煌は優しいね____」



力なく笑みを浮かべたと思ったら、瞳から一筋の涙が流れ出した。



「え、奈緒!?」



急にどうした!?