「ああ、日菜子の匂い」
倫太郎が私の首筋に鼻を当てている。
私は恐怖で動くことができずにいた。
「男の部屋にひとりで来たってことは……わかってんだろ?」
耳元で囁かれた時、涙が溢れ出た。
「ヒック……ンック…」
倫太郎が驚いた顔で私を見る。
「日菜子?泣いて…」
「さ、サイテーだよ…どうして…こういうことできるの?」
昔の倫太郎の笑顔や思い出が、バーっと頭の中を走馬灯のように駆け巡り、胸がぎゅーっと切なくなった。
もう、あの頃みたいには戻れないのだろうか。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…