「あいつみたいにお前のこと真尋ちゃんって呼べって?」

凌を見た後私へと目を移す雄輝。

凌が麻宏ちゃんって呼んでること気にしてるのを知っているのか、鼻で笑われる。

ムカつく。こいつ。そう心で呟きながら睨みつける。

「向坂って呼べば?
同じ名前ってめんどくさいね。」

春崎さんに少し聞こえるように言い、春崎さんを鋭い目つきで見る。

嫉妬なんてしないって心に誓ってたのに、自然と口から嫌味のように出る言葉。

自分自身が嫌になる。

「真尋!そんな言い方ねぇだろ!」

凌が振り向き私を睨みつける。

その隣で目に涙を溜めながら縮こまる春崎さん。

ついこの前まで凌の笑顔は私に向けられていた。

ついこの前まで凌の隣は私の居場所だった。

次々と汚い感情が溢れ出す。

「ごめんけど私、春崎さんムリだわ。
明日から一人で帰る。」

そう告げ私は逃げるように走りだした。