「先生」
「はい?」
「好きです、大好きです」
「困った人ですね。ありがとうございます」
こうやって、先生に私の愛を届けることが私の日課。
惚れたその日から、毎日欠かさず来ては言っているのだ。
困らせていることは知っているけれど、それでも伝えられずにはいられない、私の気持ち。
先生の返事は、決まっていっつも“ありがとうございます”。
「先生、私がいなくなったら困りますか?」
「いきなり何を言い出すんですか」
「聞いてるんです。もし……、この学校から私がいなくなったら困りますか?」
カップにコーヒーを入れていた先生は、ゆっくりとこっちに振り向いて、私と目を合わせた。
「それは、困りますねぇ。毎日の楽しみがなくなりますから」
そんな勘違いしちゃうようなこと言わないでよ、先生。
先生は私に気がないこと分かっているのに……。
「はい、どうぞ。熱いので、気をつけてくださいね。砂糖、入れておきましたよ」

