校門のそばまで走ったところでルキに追いついて、「ちょっと待って!」と右肩を掴んだ。

ルキはびくっと肩を揺らしたあと振り返り、「びっくりした、メイベルか」と目を細めて笑った。



「お疲れ様……って、実はぜんっぜん疲れてなんかいないんでしょ?もしかしてルキは、ライザにわざと負けたんじゃないかって思って追いかけてきたの」



決闘が終わったあとのルキの行動でピンときたんだ。

もしかしたらルキは、疲れたふりをしていたんじゃないかって。



ライザは立ち上がることですらままならなかったのに、対してルキは軽やかな足取りで第一実技室を去ったこと。

サビーナがドアにかけていた魔法の錠前も、あれだけの苦戦のあとにも関わらず、いとも簡単に壊したこと。

それに決闘直後の今だって、やっぱり息は乱れていない。



「さぁ。なんのことだかわからないな」



と苦笑いしながら視線を泳がせているルキは、思わず笑ってしまうほど嘘が下手くそだった。



「ほら、やっぱり嘘だ。だってルキは校長先生の魔法を破れるくらいの腕があるんだもん。本気をだせば、ライザなんかに負けるわけないもんね?手を抜いていたんでしょ?」

「はは、ライザくんは本当に強者だよ。彼を完全に侮ってたな。もっと強力な防衛魔法を張るべきだったよ」

「ねぇ、ルキ。私の質問に答えてないよ?」



残念な結果だったな、と笑うルキは決して「実は手加減をしていた」と言うことはなかったけれど。

でも私と視線を一向に合わせようとしなかったから、ルキが必死に誤魔化そうとしているのは明白だった。