想いが溢れてしまったら【短編】

「え、もしかして泣いてる?え、うそだろ?なんで……」


気づかれた。多分目の周りがどろどろになっていたか、鼻水かバレたか。


なんでって聞かれても、とっさに適当な理由が思いつかない。

言葉が出ないまま首だけぶんぶん振っていた。


「大丈夫か?明日香」


陽介があたしの顔を覗き込む。あたしは恥ずかしくなって、陽介と視線が合わないように顔を背けた。


そんな優しい声、今まで聞いたことないかも。耳の奥で余韻が残っている。


距離が近いから、あたしの右半分に陽介の体温を感じてしまい、そのままあたしの体温まで上がっていく。


意識しちゃうと、手が震えてきた。たぶん陽介が困っている。