想いが溢れてしまったら【短編】

だめだ、泣きそうって思ったときには手遅れだった。

せめて陽介に気づかれないように、両手で口元を覆いながら、人差し指で思いっきり目頭を押した。


暗いから大丈夫。鼻水だけ音を立てないようにしたら、たぶん気づかれない。


せっかくメイクだってしてきたのにな。

普段は部活でメイク禁止だからすっぴんだけど、今日は1時間近くかけて頑張った。

アイラインが上手に引けなくて、何度もやり直したのに。


そんな余計なこと考えていたら、涙も治まっていく気がした。


……なのに。