想いが溢れてしまったら【短編】

夏休み中に何度か部活はあったけど、あれから陽介とは直接話す機会はなかった。


それでもあたしは相変わらず陽介を目で追っている。


一回振られちゃったけど、なぜだか陽介を諦めようって気持ちにはなっていない。

むしろ、もっと好きになっているんじゃないかな。


床を強く打ち付けるボールの音がして、あたしは男子のコートに目を向けた。


すると、そんなこと今までなかったのに、陽介がなぜかこっちを見た。


……びっくりした。あたしは反射的にすぐ目をそらす。

今の、感じ悪かったかな。


そらした後から陽介の反応が気になってしまって、もう一度おそるおそる陽介の方を見た。


陽介はその大きな右手で自分の口元を覆っていた。


あ。陽介、耳が赤い……




    ― 想いが溢れてしまったら 完 ―