想いが溢れてしまったら【短編】

陽介が座ったまま身を乗り出し、あたしを強く抱きしめたのだ。

あたしの後頭部をぐっと掴み、そのまま彼の胸に押し付ける。


視界は真っ暗になって、花火はもう見えない。


……意味がわかんない。


なんで?あたしのこと好きじゃないのに。

これから陽介を諦めなきゃいけないのに、こんなことされたら期待してしまう。


……いや、期待はしてないや。だって振られてるもん。


それならなおさら、こんなのずるい。


言いたいことが次々と頭の中に浮かぶのに、胸が詰まってしまって、言葉にはならなかった。