ゴン、と私の机の脚に蹴りを入れる相良くん。
私は、ぶっ、と笑った後で「ごめんて」と謝る。
 
旧音楽室の奥にかさばっていた机や椅子をふたり分だけ下ろして、まるでクラスメイトの横の席みたいに隣同士で座る私たち。

自分と相良くんのピアノ練習、そしてテスト勉強。
それを、自分たちふたりだけの隠し部屋みたいなこの部屋でできる贅沢を、私も相良くんも無意識に堪能していた。
 
ちょくちょく冗談を挟まれたり、教えろとせがまれたり、ちょっかいを出されたりもしたけれど、私にとっては初めての楽しい勉強会だった。