次の日。
昼間は本を読んだり外を見たり退屈に過ごした。夜が楽しみで仕方なかった。日が落ちるにつれて胸が高鳴る。
話し相手ができて嬉しいのだ、このワクワクもドキドキもきっとそのせいだと自分に言い聞かせ夜を待った。

その夜私は広場へ向かった。御影くんは椅子に座って景色を見ていた。私が近づくと窓の方を向いたまま御影くんが言った。
「待ってたよ、さよ」
そして振り返った。相変わらず優しい笑顔だった。
「御影くんは昼間は何してるの?」
私は御影くんの隣まで車椅子を動かした。
「ん~まあ…色々…かな」
御影くんは一瞬、悲しい目をした。
「私も暇だよ…昼間は…」
私はいいことを思いついた。
「私が御影くんの所へ行くよ」
私が言うと御影くんは私を見つめて言った。
「それはダメ…来てはいけないよ」
どうして…何か事情があるのだろうか…
「じゃ、じゃあ夜…毎晩ここへ来るよ」
どうしても私は彼に会いたかった。
「ここへ来てくれるの?嬉しいなぁ」
御影くんは立ち上がると私の目の前まで来てしゃがんだ。
「さよ、明日も明後日も僕は君を待ってるよ」
私を見つめる瞳は綺麗だった。
「うん、絶対来るから」
それから静かに景色を眺めた後病室へ戻った。