目を開けると、そこは真っ白な部屋だった。耳を澄ますと、ピッピッという規則的な音が聞こえる。    
「目が覚めましたか?ここは病院です。気分はどうですか?」                      
話しかけてきたのは看護師さんだった。       
「大丈夫です。」                 
「あなた、飛行機事故があってから1週間も眠っていたのよ。死んじゃったんじゃないかって何度も呼吸を確認しちゃったわよ〜。」               
「はぁ。」                   
「そうそう!あなた名前教えてくれないかしら?あと年齢も。ご家族に連絡したいから。」         
                         
名前?えっと…名前なんだっけ?          
                        
私は誰?私は、何者?               
                         
「わ、分かりません…誰?誰?あ、頭が痛い!」   
                         
考えれば考えるほど、自分が分からなくなっていく。それに、頭の痛みが激しくなっていく。        
                         
「大丈夫!深呼吸!そう、1、2、3。」