「ごめん。今の私は小林くんの好きな時音じゃない。私が付き合ったら、本当の“時音”の居場所を奪うみたいだからそれはイヤなの。だから、私の記憶が戻るまでは友達でいてくれるかな?記憶が戻ったら、また告白してくれると嬉しいな。ワガママ言ってごめんね。」
自然と涙がこぼれていた。それは、どういう感情で流した涙なのかは時音には分からなかった。
「いや、いいんだ。時音のペースが1番だから。でも、約束が1つある。それは、記憶が戻ったら僕に教える事。そうじゃないと、また告白出来ないだろ?」
その、言葉にうんと応えるしか出来なかった。

もう、記憶も戻らないかも知れないのに

こんなにも希望を持たせるような事を言ってもいいのかなぁ。

時音は、自暴自棄になりそうだった。
「ここが、うちらの家!さぁ入って〜」
「梨々花、小林くんに恋でもしてるのかな?」
「イケメンだからでしょ。」
サラッと美花はこういう事を言う。
帰りのHRが終わり、3人で梨々花と合流し今に至っているのだが…。梨々花が秋にメロメロなのだ。