記憶がないって…どういう事だ!?アメリカに行ったんじゃなかったのか…?事故、事故?!
「時音?だよな?僕の事覚えてるか?」
HRの後、イケナイと思いながら恐る恐る話しかけた。
「ごめん。わかんない。」
怪訝な顔をされた。当たり前かもしれないけれど…。
「時音〜!どうした?知り合い?」
その時だった。時音に知らない女が近づいてきたのは。
「ううん。知らない。でも、私の事知ってるって!」
「ちょっといいかな。」
そう言って、知らない女はどんどん腕を引っ張って進んでいく。僕の感情など完全無視だ。そうして、着いたのは屋上。
「なんだよ!」
女の手を振り解く。僕は、時音から引き離されたことにイライラしていた。だが女は僕をキッと睨んでくる。
「転校早々にナンパするわけ?時音が記憶がないって聞いて、遊ぼうと思ったんでしょ。悪いけど、時音にあんたは似合わない!こんりんざい私達に話しかけないでくれる?」
その言葉を聞いて僕の中で何かが溢れた。我慢していたすべてのモノが…。
「人の話も聞かずに決めつけんなよ!時音がアメリカに引っ越した時から連絡もなくずっと心配してたんだ!それに!」
そこからは黙ってしまった。確かに、時音とは付き合ってきたが時音を守れていない自分がいた。時音がイジメられていると気付いた時はすでに、終業式が終わった後だった。