「雪斗、倒れてごめんね?」
時音は、目を覚ますと目の前にいた雪斗に謝った。
「いや、僕のせいだよ。謝らないといけないのは僕だ!」
「そんな事ない。私の名前は時音。」
時音の言葉を聞いた雪斗は、目を見開いた。
「今、僕言ってないのにって思ったでしょ?私は、雪斗のおかげで自分の名前を取り戻した。でも、それだけ。それ以外の記憶は戻ってないんだ。」
「そっか〜。少し嬉しいね。じゃあ、お父さん呼んでくるから。」
「うん」

本当に自分の名前だけしか思い出せてない。

どうしてこんなにも上手く行かないんだろう…。

「入るぞ。」
そんな事を考えている内にお父さんがやって来た。
「名前の記憶は戻ったらしいな。」
「うん。でも、それ以外はまだ…。雪が自分の弟だなんてまだ信じられなくて。」
「ゆっくりでいいんだ。自分のペースで思い出せばいい。」