晩ごはんのハンバーグを食べ始めると、お父さんが話し始めた。                    
「実は、家族でアメリカに引っ越すことになったんだ。」                      
その言葉を聞いた瞬間、私は頭が真っ白になってしまった。                       
「い、いつ?」                  
やっとのことで出した言葉も上ずってしまう。    
「今週の金曜日だ。もちろんお母さんも知っているし、さっき学校や市役所で手続きもしてきた。」     
「はっ!どうして言ってくれなかったの?!」    
さっきまでしていたハンバーグの味もしなくなっていた。                       
「落ち着いて時音!お父さんも時音の事を考えて決めたのよ。これからの就職は、出た学校よりも実力が求められる時代なの。お父さんは、時音が英語力や応用力をつけられるように考えに考えて決めたのよ。もちろんお母さんもその考えに賛成してる。」          
「いつでも戻れるように、家もこのまま残しておくことにしたんだ。アメリカで暮らすかは行ってから決めてもいいんだ。どうかな?」              
私はお母さんとお父さんが必死に考えていたことを思うとうなずくことしかできなかった。         
                         
食後、部屋に戻り秋に電話することにした。     
「今から会えないかな?」             
                         
秋の家の前で待っているとすぐに秋は出てきてくれた。