「姉ちゃんの死因は、脳の血管が切れたからなんだって。sなんちゃらっていうのらしい。どんな思いで死んでいったんだろう。もっと、家族で話していれば変わったんだろうか」
「支えて来れなかった事が、凄く悔しい。もっと電話をかけてればよかった。でも、僕にはそんな資格はないか…。どっかで、記憶をなくす前の時音を求めてたんだから。全部時音にはお見通し。」

その後、僕達は桜の花が咲き乱れる樹の下の、姉ちゃんのお墓に行った。姉ちゃんは、桜のようだと思う。咲いているのは少しの間なのに、僕達はその花をとても愛する。
今回、僕達は苦しい思いだけをした訳ではない。話し合って、あの小説を本にする事にした。会田 時音の名前で。1人の少女の人生を知って欲しかったのだ。
空では星が瞬いていた。これから先の事なんて分からない。でも…………。まぁ、いいかな。生き方なんて、そのうち運命が選び始めるんだから。