「ほら〜!皆遅いって〜!はやくー!」
そう言って美花が1番に走っていく。
「何でアイツが1番楽しんでんの?」
すばるくんがごもっともな意見をおっしゃる…。
「さぁ、何でだろ?」
「なんでだろうね?」
それに皆が同意する。その様子を見て、後ろでニコニコと笑っている彩さんも居る。
今、時音と雪斗との思い出作りで近くにある遊園地に来ていた。明日はもう出発だったから施設のメンバーと秋くんにすばるくんも来ていたのだ。かなたさんは、資料の最終確認があると言って来ていない。
「それで、時音は何に乗りたいの?」
横にいた秋くんは、時音にいつも気遣っていた。さっきからずっとだった。
「皆で楽しめたら、それでじゅうぶん!」
「それなら良いんだけどな。」
秋くんはそう言って曖昧に笑って後ろに下った。
「にしても、短かったよね。私達で過ごした日々って。」
「そうだねー。」
梨々花は隣にやって来て、話しかけてきた。
「今だから言えるけど、いきなり記憶の無い少女がやって来てどうしようか凄くてんぱったんだから。」
「少女って言える年齢でも無いし〜!でも、私のせいで迷惑いっぱいかけてるなぁ。とは思ってたよ?」