「まあ、確かに約束はしたけどさ。俺だって毎回真子の分まで出すの正直キツイし」

手を振り払われたハルトは露骨に嫌悪感を露にする。

「ちょっ、なにそれ。別にあたしの分まで出してなんて頼んだことないよね?」

「頼まれたことはないけど、お前いつも言ってるじゃん。『うちは大家族だから、弟たちにお金がかかる』って。そんなこと言われたら割り勘にしようなんて言えないだろ」

「別にそんなつもりで言ったんじゃないし!」」

「真子はいつも神条に飯とかおごってもらってたからそれが普通になってんだろ。でも、俺は神条みたいに毎回はおごれないから」

「……なにそれ。なんでそこにセイラが出てくるの!?」

「ハァ。真子、悪いけど今日は帰ってくんない?お互い冷静になれなそうだし」

ハルトは大きく息を吐きだすと、あたしに背中を向けた。

なにそれ。お互い冷静になれなそう……?

誰にせいでこうなったと思ってるのよ。

あたしがいつおごってなんて頼んだ?

セイラの名前まで出してきて……。

そうやって勝手に理由つけて言い訳して。

そもそもハルトがインドアだから、どっか行くのがめんどくさかっただけじゃん。

それをあたしのせいにするわけ?