「着替えたー?」

「入っていいぞー」

中から返事が返ってきた。外で待っていた女子がどんどん入っていく。
また褒めてもらいたいな。早く素直になりたいな。

嬉しくなって、心が温かくなる。けど、ちょっとしたことで冷たく、痛くなる。

和泉、あの子には投げないんだ。
落とした消しゴムを手のひらに置く。私の時は投げるのに。
駄目だ、抑えなきゃ……それなのに……。

「おい!」

私はストラップを奪い、背伸びして手を上げる。

「取り返してみなよ、おチビ」

和泉は背が低いのを気にしているのに……。和泉の心を引っ掻くようなことをしてしまう。

「頑張ってると思った後に……最低だな」

そんな目で見ないで。
他の人には見えない素直な私は泣いている。

和泉は私を突き飛ばした。そしてストラップを奪い返す。
和泉、さっきまで私のことだけ見てたよね?そう思ってしまう私が大嫌いだ。

これが致命的な欠点。どんな目でもいいから見られようとしてしまうんだ。