だって私は、こんな大きなオフィスを構えるような家庭の人には、不似合いもいいところの女なんだからーー。


そう思いながらエレベーターを降り、歩き出しながら考えた。



……そもそも、あの人は何なんだ。

私の部屋に男が通ってきてたことを知ってるくせに、興味が湧いたとか言って、お見合いを断りもしないで。



「……キスマークまで付けるとか……あり得ない!」


小さく呟いた声に顔が熱くなるのを覚え、慌てて髪の毛を押さえ付ける。


そういえば、ヘアスタイルが変わっても何も言われなかったじゃないか。
だから、やっぱり私には興味がないんだろうと思う。


あの人はただ自分の祖父が怖いだけ。
だから、興味もない私だけど、仕方ないかと思ってる……。



「本当にサイテーな男」


二度と誘いになんて乗るもんか。

そうよ、絶対に…と気持ちも新たに頷いたーーー。