カウンセラーだった私に相談してくるのはいつも海音のお母さん。 1回だけ海音に会ったことはあるけど、 まったく会話をしなかった。 その時の海音の瞳と表情は、今でもはっきり覚えている。 今とは別人のようで、瞳には光さえうつしていなかった。 まったく喋らず、まったく笑わず、まったく関わろうとしない。 一つだけ、海音が言っていたとお母さんから聞いたことがある。 それは、 『人を信じられなくなった。』