「明日、何時に家出る?」


なぜそんなことを聞くのか分からなかったけれど答える。

「えっと、10時半くらいだけど。」


「なら大丈夫か。」

と、瀬奈は電話越しに呟いている。


「明日9時に私を杏の最寄り駅まで迎えに来て。」


「えっ来てくれるの?」


「そりゃあ、親友がピンチなんだからそれぐらいするよ。」


「でも、悪いよ。」

実際、瀬奈とは5駅ほど離れていてそれなりに時間がかかる。

それに、そんな朝早くからなんて。

「いいから、いいから。
絶対だよ。じゃあ明日ね。」


少し無理やり電話を切られた。


なんて優しい親友を持ったんだろう。

そう思いながら散らかっている部屋をある程度片付け、勉強を開始した。