『もう帰って来られる?
 大切な話があるのよ…』



お母さんに言われた
“大切な話”


電話越しに感じる重たい空気は
その意味が決して
“明るい内容じゃない”と
イヤでも理解させられた。



「すぐ…帰る」



そう言って静かに電話を切ると
ゆっくりとベッドから降り
フラフラしつつ部屋のドアを開けた。


すると
ちょうどそのタイミングで――



「は?もう起きたのか?」



お盆に氷枕と
水を持ったゼンが階段を上がってきた。



「あー…うん。
 母親帰ってるから
 アタシも帰るね」


「そっか…
 送ってく」



ゼンに送ってもらい
アタシは悪い予感を感じながら
家路に着いた。