「……妹、ねぇ。まぁ、あの人にはハッキリ言わねぇと分かんねぇかもな」
「でしょ?」
「頭脳明晰、容姿端麗、品行方正」
「うんうん」
「いつもニコニコしてて世渡り上手。完璧人間っていうのはああいう人の事を言うんだろうな」
「そうそう!響、良く分かってるじゃない!」
「けど、あぁいう人ほど腹の中では何考えてるか分かんねぇぜ?」
「……ちょ、今のは聞き捨てならない。響は誉くんが二重人格とでも言いたいの!?」
テンポ良く歩いていた足をピタリと止めて、肩越しに振り返った響をキッと睨み付ける。
誉くんはそんな二重人格なんかじゃない。
あの優しさは、
人を思いやるあの優しい心は、
決して偽りなんかじゃない。
目を見れば分かるんだから。
まっすぐで揺らぎのない透き通った瞳。
穢れのない瞳。
あの人が二重人格だなんて、そんなの絶対にあるわけない。


