幼い記憶が彼女の中に残っていた。
暗い教室の中で外は薄暗い時間の中何人かの子供達が1つの机を囲むように立っていた。
机の上には紙とペン、絵の具、ロウソクが置いてあった。
教室の外にはロウソクの灯りが静かな廊下へと漏れていた。
「それじゃあ、始めるよ」
少女の呟くような声でその場にいる子供達はペンを持って自分の名前を真っ白い紙に書き始める。
『宮崎凛音』
まだ幼いその文字はしっかりと白い紙に書かれていた。
周りにいる子供達も書き終わったとき、少女はパレットの上にある様々な色を見て手には筆を持っていた。
「じゃあ、被らないように色を塗らなきゃね....みんなは何色にする?」
少女の声に反応して様々な色を口々に言っていく。
青.....白.....緑.....いろんな色を言うが色が被ることはなかった。
「じゃあ、私は××ね」
そのことばを合図にそれぞれがパレットから自分が言った色を筆を使いとっていく。
そして、とった筆を自分の名前の上に塗っていく。いや、塗りつぶしていく。
教室の中には筆で色を塗る不思議な音が反響して、いっそう不気味さを出していた。
「みんな終わったね。じゃあ、持ってね」
全員が紙の端を持つ。
その紙は様々な色が雑に塗りつけられていた。
せーの。と言う少女の言葉に全員息を吸う。そして.....
「「「「色鬼、色鬼、な〜に色?」」」」
不気味な子供の声が響いていく。
「「「「イロオニ、イロオニ、な〜に色?」」」」
その瞬間、少女たちは紙を引っ張り、破る。
ビリッ
「これで終わりだよ。これでいつか、みんなにまた会えるね!」
笑顔に染まる子供達の顔には少しの不気味さを含んでいた。
その時の少女は何も知らない。
その時の子供達は何も知らない。
その中に見たことが無い子がいたことを。
静かに微笑んでいたことを。
「ねぇ、凛音ちゃん貴方はね________________」