辺りを見回しても誰もいない。
晴くんもそばに来て首を動かす。
「ちょっと、あんた携帯貸してくれる?」
「う、うん」
そして、携帯を渡すとおもむろに画面をタッチし始めた。
「俺の方から返信してみるねぇ」
「えっ、危ないよ、」
「もう送ったし」

画面には、“誰あんた”と書かれた文字と、送信済みのマーク。

「返信こないねぇ」
「来たら怖いよ!晴くん大丈夫?」
「俺よりさぁ、あんたのほうが大丈夫なの?絶対これストーカーとかだよねぇ」
「警察には言わないで!お母さん達に心配かけたくないから……」
これは私のわがままだけど。

「………はぁあ じゃあ、とりあえず秘密にしておくけど、エスカレートして手に負えなくなったら警察に行くからねぇ」
「うん」

_______________ピロンッ。


これは、私の音じゃない。晴くんのだ。
「あ、返信きたねぇ」
「ど、どうだった?大丈夫?」
「んー、“俺のほうが彩月ちゃんを知ってるから邪魔するな”だってさぁ」