「まず結果からお伝えします」

レントゲンの写真のようなものを見せられる。


「結論から言うと、脳に大きな損傷があります」
「え、またですか…?」
「いえ、前のが悪化したような感じです きっと、前に殴られた衝撃で悪化したんだと思われます」

脳にまた損傷。
それだと、どうなる…?
先生が口を開く。
それと同時に私も緊張してしまう。

「また、神経にも少し異常が見つかりました
ここは、手術を成功させることが出来たら今後倒れることもなくなると思います」
「じゃあ……っ!」
お父さんが身を乗り出す。
しかし、それを先生が制止させた。

「手術をすれば、脳の損傷部分に少し触れてしまいます その結果、…これは可能性としてですが記憶がなくなることがあります」
しかもかなりの確率で、と付け加えられる。

「じゃあ、彩月は…」





「このまま目覚めなくなるのを待つか、記憶を失うが少しの間生き続けるか、の選択になります」


記憶を失っても、いつかは目が覚めなくなる、みたいな言い方。
そっか。
みたい、じゃなくて少しの間延命するようなものなのか。


そんなこと…………。

「一週間後には聞かせてください また、手術には多額の費用が必要となるので、そこの面でも考えていただきたいです」

「また、手術方法は後で紙を渡すのでそれに目を通してください」

そう言って立ち去っていく。



「お父さん、お母さん」
「っ、彩月はどうしたい?」
「私は、」
私はどうしたいんだろう。

晴くんと一緒にいたい。
茉莉ちゃんとお出かけしたい。
翔くんとお話したい。

だけど、このままだと会うことすらできなくってしまう。


でも、すべて忘れたら?

前に夢でも見た。
忘れられた側はすごく辛い。

どうしよう、どうしよう。


「晴くんたち、呼んでもいいかな」

お父さんが無言で頷く。


私一人じゃ決められないよ_______________。