「ねぇ」
「ん?」
「あんたっていつか記憶なくなるんだよね」
「……そうだよ」

これは変えられないから。



「これからは、ちゃんと隣で写真撮ってよ」




「え、」

「記憶なくなっても、ずっと隣にいてよね
もし忘れても、俺が思い出させるからさぁ」

隣に…?
私が、晴くんの隣。



「それって……」



「何回も言わせないでよねぇ!俺はあんたのことが好きだって言ってんの!」


「えぇっ!?」

ま、前に言ったのは冗談だって…。

え、ちょっと待って。


「頭が追いつかない…」

顔が熱い。


わ、私も晴くんのこと好きで。
さっき気づいたばかりで。

でも……、

「記憶がなくなるからって理由で断るの話だからねぇ」

「うっ、」

「それとも何、俺のこと嫌いなの?」

真剣に聞いてくる晴くんはずるいと思う。


「えっと…、あの」

「なぁに?」



「す、好きなので…………ず、ずっと隣で写真撮らせて下さい!!!」

片手を勢いよく差し出す。


これが、答え、だから。



「もちろん、彩月の被写体になってあげる」

片手なんて無視して、腕を引かれ抱きしめられる。

晴くんの優しい香りに包まれる。

「…っ晴くん好きです」

「さっき言ったばっかでしょ」

「ずっと隣にいてください」

「それもさっき言った」

優しく声を返してくれる。


あぁ、記憶がなくなるなんてことが無ければいいのに。